フランスの北部、ベルギーとの国境に近い地方で生産されるチーズ。もともとはオランダのチーズだったそうで、
17世紀の一時期に外国製品の輸入を禁止した時代あり、その時にフランス国内で生産されるようになったそうだ。
そのため形はオランダの代表的なチーズであるエダムチーズとそっくりで、作り方もほとんど同じ。
名前の由来はフランス語で「半分柔らかい」という意味の「ミ=モレ」から来ている。
熟成6週間目から食べるようになるが、1年、1年半、2年と熟成の長さの違いで味や食感が変わっていきそれぞれに
楽しめる。3カ月くらいの若いものは名前の通り「半分柔らかい(セミハード)」が、1年半以上になるとヴィエイユと呼ばれ
専用のナイフでないと切れないくらい固くなり、風味も豊かになる。
チーズはアナトーという着色料でオレンジ色に色づけされ、若い頃は薄いオレンジ色がだんだんと茶色っぽい渋い
オレンジ色に変化していく。
他のチーズと比べて匂いがマイルド。私はハードタイプのチーズをチビチビと齧りながら赤ワインをすするのが、
この上なく好きなのです。(「すする」って表現はワインにはふさわしくありませんね。でもぐいぐい飲むというよりは
少しずつカジュアルに飲むってニュアンスを感じとってください) 熟成をしたハードタイプは程度の差こそあれ
漬物臭がしてくるのですが、このミモレットに関してはそのような腐敗臭に近い匂いは全くせず、ほのかに甘い
キャラメルのような香りがします。
しかし味はきちんと旨味が感じられハードタイプのチーズの醍醐味を十分に発揮しています。
脂肪分も若干少ないためでしょうか、あっさりとした口当たりでワイン以外の吟醸酒やお茶などとの相性も良いと
言われています。
きれいな色をしたこのチーズ、チーズの盛り合わせなどを作るときにもちょっとしたアクセントになると思います。
そしてクセがなく食べやすいのに、ミルクの甘さや旨味がしっかりと詰まっているので、「おいしいチーズ」代表として
チーズにまだ慣れていない人にも一押しで薦めています。
秋の夜長にご夫婦でワインを片手にミモレットを齧ってみられたらどうでしょうか。
合うワインはわりとあっさりとした味なのでコクのある白ワイン(シャルドネ種など)やボージョレみたいな軽くて
フルーティーな赤ワインと。
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